公式サイトhttp://www.adoptfilms.com/winter
Winter Sleep 11月21日公開
持てる者と持たざる者の構図で、人間の奥底にある暗闇を照らし出し、パルムドール受賞!それを演じる俳優陣はもちろん、トルコ、アナトリアの荒涼とした風景だけでも何かを物語るよう。
主人公アイディンは、ホテル・オーナー兼コラムニスト。元俳優、大家でもあります。若い妻、離婚した妹と暮らす高台にあるホテルが見もの。白茶けた山肌を掘り込んで建ててあり、山に玄関をくくりつけたような威容。雪に閉ざされる時期など、すっぽりと居心地良さげ。そこから町を見下ろす具合なのが、この家族の地位を象徴するようでもあります。遠くからホテルを目指して歩いてくる町人を、窓から見通していたりします。
アイディンの乗った車に物を投げつけ窓ガラスを割ったのが、賃貸人家族の子どもであったことから、物語は展開。様々な事情を抱えている賃貸人家族は、アイディン一家とは対照的に貧しく、家賃を払うことさえままなりません。
3時間強の長尺、前半はほぼ会話劇。ある意味では失敗者でもあるアイディン、離婚の痛手を引きずり無為に過ごす妹、慈善活動に励むもしょせんはアイディンに依っている妻など、会話から浮かび上がってきます。後半は、そこから、少し動きが出ます。少ない動きで、もう一段、それぞれの深いところまで降りてから終わるのがお見事。