10月14日公開 人と鳥のドキュメンタリー。
地面に打ち捨てられたプラスティックバッグの上に、雨水がたまっている。そこから虫が這い出して来たと思ったら、灰色の空を行く飛行機が水面に映りこんでくる。
インド、デリーは世界一の人口密集地、人だけではなく虫や動物も混み合っている。灰色の空を仰げば一目瞭然、公害もひどい。おまけに、暴動もひどくなる一方だ。
そんな汚れた空から、落ちてくる鳶を介抱する3人チームを追う。少年の頃、落ちてきた鳶を獣医まで運んだ兄弟は、その鳥は肉食だからと断られる。宗教的な理由のようだ。
そこから独学で鳥の治療を学んだ兄弟に、年若いヘルパーを加えた3人が、ガレージの地下を治療所として、傷ついた鳶を運び込んでは、治療を施していく。
鳥好きの少年がそのまま大人になったような彼らを見ているだけで癒される。だが、兄の息子にまで咳の症状が出るほどの公害と、間近に迫ってくる暴動、このまま続けていけるのか。
動物ドキュメンタリー、人間ドキュメンタリーでもあり、思いがけない側面から社会を切り取って見せた社会派ドキュメンタリーでもある。
お披露目されたサンダンス映画祭、続いてカンヌなどでも賞を受賞、現在、参加中のロンドン映画祭、その後、韓国、アメリカと映画祭を回り、さらに受賞するかもしれない。