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White Noise

December 1, 2022 - Film of the month
White Noise

12月2日公開 風刺の効いたブラックコメディ

ドン・レリーロの同名人気小説を原作に、ノア・バームバック監督が脚本も手掛けた。バームバック作品ではお馴染みのアダム・ドライバーとグレタ・ガーウィグが、倦怠期の主人公夫婦を演じる。

肉付きをよくして中年太り体型にしたドライバーが演じる夫は、大学でヒトラー学を教えている。もう1人の講師と組んで、エルビスとヒトラーを絡める講義が、見せ場だ。

聖職者による説教でさえ、やけに乗りよく盛り上がったりするアメリカ、大学の講義もほんとうにこんななら先生も大変、というオンステージが繰り広げられる。

そんなある日、主人公一家の近隣で何かが起こる。空が真っ赤に燃えている。連れ子もいて大所帯の一家は避難を余儀なくされる。避難所に集まった不安な人々に向かい、持論を説く人が登場してくるあたり、大学での講義に続き、現代への風刺が見える場面だ。

ドタバタのうちに、妻の許しがたい秘密が暴かれる。災害時に有毒ガスを吸い込み、死を意識する夫は、思いがけない行動へ。このあたり、笑いと涙のどちらに転ぶか、悲喜劇の真骨頂となる。

舞台となる非常時の町はどこかSFのようでもあり、どのジャンルにも収まりきらない映画だ。

2日から一部劇場公開、30日からNetflix配信