
2月3日公開 ブレンダン・フレイザーが体重増加し家から出ずに1人暮らす男を演じるダレン・アルノフスキー監督作。
破壊された肉体を撮ってきたアルノフスキー監督が、今度は死に至るほど太ってしまった男性を主人公にした。
オンライン授業で、自分の姿は隠したまま講義するチャーリー(フレイザー)は、体を動かすのも苦しいほど体重増加している。家からも出られず、日常的に顔を合わせるのはほぼヘルパーの女性のみ、お得意さんになっているピザの配達人にさえ姿を見せずやりとりする。
長くは生きられないであろうチャーリーが、会いたいと願う別れた妻との間の娘と、宗教の勧誘にやってきた青年が、そんなチャーリーの暮らしに関わってくることで物語は展開していく。
肉襦袢と特殊メイクにCGで表現されるチャーリーの巨体が圧巻。
文学を論じるチャーリー、『白鯨』についても言及する場面があり、それと自身をかけたようなタイトルになっている。
その巨体を見れば、それ以外の属性が飛んでしまいそうだが、実は豊かな内面を持っている。それなのに、加速する食欲は止められない。
そうなってしまったいきさつを過去の出来事から透かし見ながら、あらたにその生活に入り込んできた娘、青年から、事態が変わっていくことを願う気持ちになるのだが…
その願いで、見届けずにはいられない結末だ。