公式サイトhttps://www.suffragettemovie.com/
Suffragette 10月12日公開
イギリスの婦人参政権運動を描いて、中心的人物だったエメリン・パンクハースト(メリル・ストリープ)ではなく、一労働者(キャリー・マリガン)を主人公にしたことで映画の流れが決まった。
当時、夏目漱石が『私の個人主義』と題された講演の中で、「近頃女権拡張論者と云ったようなものがむやみに狼藉をするように新聞などに見えていますが」とし、「ことによると女は何をしても男の方で遠慮するから構わないという意味でやっているのかも分りません」と触れている。
百年前の漱石先生のみならず、描き方によっては今でもそう見えたかもしれないものを、サラ・ガブロン監督が一労働者を主人公にしたことで大転換。劣悪な環境で重労働を強いられ、低賃金でパワハラ、セクハラあたりまえの職場で働き、家では夫に殴られるような女たちが変化を望むのを、誰が間違っていると言えますか。
脚本はアビ・モーガン。The Iron Ladyを牛乳の値段から始め、庶民の敵のように思われているサッチャー元首相を、まさに一主婦、一庶民として、グッと観客に近づけて見せたモーガン、今回もまずは観客を主人公にぐいと引き寄せたところで話がスタート、後はぐいぐいと手繰り寄せられるばかり。ほんとうに上手いです。