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Lilting

August 5, 2014 - Film of the month
Lilting

公式サイトhttp://liltingfilm.com
Lilting 8月8日公開

脚本も書いているホン・カウ監督は、これが初長編監督作。上出来のデビューとなりました。
悲しいストーリーながら文化ギャップなどで笑わせる脚本や、それを体現する俳優陣の上手さは、少し見ただけで即わかります。後になって、なーるほどと思ったのが映像。

ロンドンを舞台に、老人ホームにいる中国人のおばあさんジュン(ペイペイ・チェン)と、ジュンを訪ねるイギリス青年リチャード(ベン・ウィショー)の2人を主人公にした物語なので、日常的な風景です。でも、それが良いんです。

ゆったりとしたペースで丹念に描かれます。ジュンに息子カイ(アンドリュー・レオン)の親友と思われているリチャードが、実はカイの恋人であること、中心人物であるカイがなかなか現れないわけ、ジュンがホームに入ることになったそもそもなどが、少しずつ明かされていきます。

人が部屋の中に居る時はしっぽりした雰囲気が立ち上り、外に出た時は肌に触れる空気まで感じさせるような映像です。この感じ、どこかで見たと思ったら、『Weekend』も手がけたウラ・ポンティコスでした。『Weekend』は男同士のワンナイトスタンドの話ですが、出会った時のドキドキ感から、お互いをわかりあっていくうれしさ、そして、またそれぞれの生活に戻っていく時のせつなさまで、繊細に見せてくれます。朝の空気の冷たさまで写りこんでいるようでした。
そのポンティコスの映像で、お互いの喪失感でつながっていくようなジュンとリチャードをじっくり見せます。ポンティコスは、この作品でサンダンス映画祭ワールド・シネマ・ドラマ映像賞を獲得しました。

eigauk-lilting