Menu

Benediction

May 1, 2022 - Film of the month
Benediction

5月20日公開

名匠テレンス・デイヴィス監督による英詩人の兵役時とその後。

抑制を効かせて進めながら、最後に大きく揺さぶる。名匠と呼ばれるのも納得だ。

主人公は戦争詩人として知られるジークフリード・サスーン。他の登場人物も実在の人々だ。

第一次世界大戦時、サスーン(ジャック・ロウデン)はメンタルをやられ、軍の病院に送られる。そこで出会うのが、同じく心を病んだウィルフレッド・オーエン(マシュー・テニソン)だ。サスーンの方が年上で、階級も上のようだ。身ごなしや話し方で上流階級とうかがえる。一方のオーエンは素朴な青年だが、サスーンは彼の詩を読み、打たれる。

記録映像も使われている。塹壕を掘りながら進んでいく当時の戦争は、肉体的にも精神的にもおそろしくハードだ。そこに戻れとの命令が、オーエンに下る。

病院での別れの場面が、前半の見どころだ。あとは迎えの車に乗り込むだけという時に、サスーンは、もう少し一緒にいようと言う。その言葉にオーエンはそこに佇む。だが、決定的な会話が交わされるでもなく、お互いを見つめ合うだけだ。結局、オーエンは迎えの者に促され、車に乗り込み、行ってしまう。そして、戦死する。

サスーンの方は、生き延びる。上流の人々が集うサロンで詩を発表したり、俳優たちと恋をしたりという日々から、晩年近くまでが描かれる。

前述のように事実に基づいた映画なので、この恋の数々からその後の顛末も実際にあったことだ。人様の人生をこういうのもなんだが、これがフィクションなら、要らないシーンと思った。それほど、オーエンとのエピソードが良い。

だが、最後で、そんな考えは消えた。人生はテーマを際立たせるためにあるのではない。様々あってさえ、際立ってしまう、消せないのがテーマだ。

そこへと戻る最後が切ない。

公式サイトhttps://emufilms.com/projects/benediction/