
9月19日公開予定 空音央長編劇映画監督デビュー作
日本の閉塞感を写し撮った青春映画。
閉塞感という言葉自体、日本を表すには手垢のついた表現と感じられるほど、長い間、言われ続けているが、本作は舞台を近い未来の日本とすることで、より一層、閉塞感を強調しつつ、新鮮味も感じさせる。
主人公である高校生たちの制服や街並みは、現代日本と変わらない。が、彼らが敵を欺くために使うガジェットは進んでいる。敵というのは、彼らへの管理を強める校長をはじめとする学校側の人間だ。
一方、学校の管理体制も、今よりもっと厳密だ。顔認証を管理に使うことは、現在でも実際に行われている場所はあるが、学校にまで入り込む時代になっている。
それぞれの個性が絶妙に組み合わされ、得難いグループとなっている彼らだが、国籍から親の経済状況までばらばらで、卒業後は違った進路になるであろうことは想像に難くない。
そもそも、年齢が同じというだけで、一所に集められる学校は、人生の中でも特殊な場所だ。卒業してしまえば終わるであろう、今、この時だからこその青春と、進んでいく先の未来の暗さで、苦みが勝ったビタースウィートなテイストとなっている。